トリウムとレアアースは鉱物レベルでも鉱床レベルでも一体として存在している。中国のレアアース原料の輸出削減で、日本のレアアース原料の供給に支障をきたす可能性が現実化してきている。特にDyなど重レアアースの需要増に伴う原料の調達は、今後の自動車やハイテク産業の維持に影響を与える。
レアアースの資源確保にとって資源開発が安定供給につながる。重レアアースの含有が高い資源はトリウムの含有も高くなる。レアアース鉱物の分離の経験に乏しい日本は、資源開発を進めれば、鉱物分離の技術獲得が必要となる。また放射性物質のトリウムの処理技術や利用も課題となる。すでにトリウムの原子力発電への利用開発は中国などで始まっている。
本調査では、レアアース資源におけるトリウムの存在を明らかにさせ、米国や中国などのレアアース事業の戦略および動向をまとめ、日本にとっての資源確保の必要性、課題を具体化し、今後の進め方および展望を示した。
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