クリティカルメタルに関するレポートは、日本メタル経済研究所としては今年で5年連続になる。それは、クリティカルメタルはベースメタルやマイナーメタルと異なり固定的ではなく、時間やその時の世界情勢、経済状況により変化するからである。
世界の人口は増加を続け、世界経済もリーマンショックや欧州危機の影響は受けているとはいえ、BRICsなどの成長を受けて拡大を続けている。それに伴い、資源消費も増加しており、わずかな例外を除いてメタル需要も増え続けている。一方日本に目を転じると、1990年以降20年以上にわたって経済成長は停滞し、人口も増加は見られなくなった。その結果ベースメタルは勿論、多くのマイナーメタルの需要も落ちているのが現状である。そのような状況下でも、日本で消費量や生産量が増え、かつ世界での消費比率の高いメタルがある。これらメタルを日本にとってのkey metals と捉え、それらについて供給リスク、中国リスク、価格動向、技術動向などの観点からクリティカル度を検討した。また巻末には例年通り、各種参考データを添付した。
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