中国の電線産業は、その驚異的な経済成長に伴い、電力を始めとしたインフラ整備や自動車、家電などの消費材の伸びにつれて大きく成長した。一方、日本ではバブル崩壊後の産業構造変化に伴い製造業は停滞してきた。日本国内の家電、自動車メーカーは海外での生産を指向し、供給する電線メーカーも1990年代以降に、ASEANや中国に盛んに進出した。
当研究所が2010年4月に発行した「中国銅産業の現状(第2部)」において中国電線産業の概要、大手メーカー、課題などについて記述している。本レポートは4年後の中国電線産業の状況について今回改めて調査し、前回との比較により、現状の状態をより深く調査した。更に、量的拡大を続けているところや相変わらず問題点が解決されずに先送りされていることもあり、電線産業の体制がどうなっているかについてまとめた。また、今まで著しく高く推移していた中国経済成長率であるが、近年陰りを見せてきており、その影響についてもコメントした。中国の電線産業を把握する一助となれば幸いである。
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