再生可能エネルギーの中で太陽光発電、風力発電などは世間の注目を集めているが、太陽光発電は発電コストが高く、昼夜などの出力不安定性などの安定供給上の問題があり、ベースロードとなるためには更なる技術革新が必要である。風力発電とも共通の蓄電技術の致命的な問題が現時点では解決を見ていない。これに対して、水力発電は日本の多雨性の気候と水系の急峻性から古くから利用されてきた。とくに伸銅業(電線業)の勃興と水力発電には深い関係がある。水力発電の特徴は純国産エネルギーで化石燃料依存度を軽減できる、発電原価は固定費が大部分で変動の影響が少なく、長期的に低廉で安定など環境性能、コスト性で優位である。現在、水力発電は大規模発電が中心であるが、新規の発電所の建設余地はほとんどなくなっている。上述の不安定発電のピーク時に揚水を行う揚水発電との組み合わせで安定発電に寄与していく利点は大きい。大規模水力発電が中心ということは裏返すとそれ以外の水資源の位置エネルギーは現時点ではほとんど利用されていなかったと言って良い。潜在発電量の総量もそれほど大きいとは言えないが、水力発電における利点と小規模発電の特徴を活かした発電事例が増加しており、政策的な関与によって隙間を埋める発電システムとして機能を発揮できるものと考えられる。
こうした水力発電につき、とくに伸銅業の発展とも関係が深かった小規模な水力発電に着目して、その現状と課題、展望等につき調査を行った。
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