中国では国内の環境汚染の深刻化から、最近では「美麗中国」の標語を掲げて環境規制を強化する方向にある。そして2018年から環境対策の一環として固形廃棄物の輸入を順次禁止している。とくに銅関係では解体が必要な廃7類銅スクラップを2019年から輸入禁止にしており、2019年に輸入禁止対象となる廃7類や雑品スクラップ等の銅分は95万トン程度に達するとみられている。これによる中国国内での銅分の不足により、電気銅増産とそれに必要な銅精鉱の輸入増によって、日本の製錬業等との間で銅精鉱の獲得競争が激化している。こうした銅分の不足を踏まえて、中国政府は規制を予定していた廃6類銅スクラップにつき、「スクラップ」を「原料」として輸入継続とするような改正も検討している。
また、国内規制と並行して中国政府はリサイクル事業の海外移転を進めており、今後日本が注力中のリサイクル分野への中国の本格参入も予想され、リサイクル原料の獲得競争も激化する可能性が高い。一方、進出先である東南アジア諸国でも環境規制の強化やインフラの不足から必ずしもリサイクル事業の環境が整っておらず、日本を含めスクラップの自国内処理が進むことも考えられる。このため、我が国においても、銅精鉱やスクラップに対する中国の動きを踏まえたオールジャパンでの対応やリサイクル事業の効率化・大規模化に向けた環境整備等が必要と考える。
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