2019年は、クリティカルメタルの中でもとくに注目度の高いレアアース(希土類)を取り上げて調査を行った。米中貿易戦争が激化するなか、2019年5月に中国政府がレアアースの輸出規制を示唆する動きに出たことは、2010年のレアアースの対日禁輸による「レアアースショック」の再来を想起させる出来事となった。レアアースはいまだに中国が世界生産の8割近くを握っており、依然として供給リスクの高いメタルである。中国では大規模なレアアースの開発によって採掘場の環境破壊や放射性物質による環境汚染が深刻な問題となった。中国政府はレアアースの生産を6つの企業集団に集約する政策を打ち出し、生産量の規制や環境対策による問題解決を図ろうとしている。日本はレアアースショックを契機として脱中国依存に努めてきたが、それでも供給の6割を中国に依存している。こうした中国のレアアース政策の動向や産業の実態等につき報告する。 |