天然資源を開発、加工・利用することから得られる利益は経済成長の源泉であるとともに当事者間の対立を生む原因にもなり得る。利益をめぐり個々の当事者間で取引上の駆け引きや競争を個々に行うだけでなく、国家間の利害衝突に発展する場合もあり、そのような事象がしばしば「資源ナショナリズム」と称される。資源ナショナリズムの原点は、「天然資源の主権は国家に存する」との考え方にあるが、この主権が確立してからわずかに半世紀が過ぎたばかりである。資源ナショナリズムは、いずれの国にも当然のものとして存在するものと考えられるが、これを国際協調と国家発展の原動力として働かせるよう努めるべきであり、昨今懸念されている供給途絶や国家間の対立の原因とならないようにしなければならない。
本報告では主に非鉄金属資源分野を対象に、資源保有国の「鉱業・鉱産物取引にかかわる規制強化及び政府の介入」及び資源輸入国の「政府による資源獲得のための政府の関与」を「資源ナショナリズム」に由来する事象と捉え、資源産業界による「規制の導入・強化への対応」も含めて調査・分析の対象とした。
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